新型コロナウィルスによる業務影響に関してのアンケート 報告1

5月14日現在、政府は新型コロナウィルス拡大防止のため4月7日に発令した「緊急事態宣言」を8都道府県を残して解除する方向にて調整を進めている。宣言が解除されてからもその影響が拡大していくであろう現状を踏まえ、バレエ関係者がこの状況をどのように捉えているかCultuArt Sceneでは独自にアンケートを行った。アンケートは国内外にて活動しているダンサー、講師、教室運営者、裏方といった技術者などのバレエに関わる関係者10代から70代までを対象に行った。

 「現在どのようなことに困っていますか(複数回答可)」という設問には、「収入が大きく減った(55.4%)」、「仕事のキャンセル依頼が多い(69.6%)」と収入に関わる要項に半数以上が回答した。日本を含む国内外の劇場が閉鎖されているため、「リハーサルをする場所がない」、「表現者として発表する場がない」という回答がそれぞれ14%ずつあった。

 「仕事のキャンセルが多い」と答えた回答者からの具体的な内容は、「国内外の舞台公演出演やツアー、発表会の中止」、「受け持つバレエクラスの中止」といった意見が多く寄せられた。「コロナウイルス感染拡大対策として、会館自体が閉館されているのでバレエ・ダンス・ミュージカル・日本舞踊・民踊などの舞台の主催者が活動をキャンセルもしくは延期しているため、1年前からの発注案件が30~40件程無くなっています」という映像関係者からの悲鳴、ピアニストからは「クラスが全て中止で、バレエクラスピアニストの仕事が全てなくなり
収入が無くなった」といった深刻な意見もあった。

 行政からの支援に対して、「十分である。足りている」の回答が14.3%、「足りていない(57.1%)、「使える支援がない(17.9%)」という意見が半数以上を占めた。教室運営者からの「現段階では足りていますが、このまま緊急事態宣言が延長して休講が続く場合は未収入でテナント代はずっと発生するので、今の支援では不十分」という意見もあり、政府が進めている「中小テナントの家賃支援」制度を切実に求める声も聞こえる。

 事業者への支援策として政府は、売上高が前年同月比50%以上減少した中小企業、個人事業主に対して「持続化給付金」、各都道府県による休業や営業時間短縮を行った事業者に対する「協業要請対象事業支援給付金」などがあるが5月14日現在において「申請を行ったがまだ給付金の振り込みがなされていない」など、急を要する事態に行政の対応が追いついていない現状だ。

 各都道府県や文化芸術団体が独自に行っている芸術家への奨励金や支援金といった制度もある。東京都の「アートにエールを!東京プロジェクト」ではアーティストから動画作品を募集し、都が専用に設けるサイトにてその動画を配信し、出演料として一人当たり10万円が支払われる予定だ。募集は5月20日から6月12日まで行われ、プロとして活動するアーティストやそれを支える技術スタッフらを対象とした4000人程度を募集する。公益財団法人稲盛財団では「稲盛財団文化芸術支援プログラム」として、新型コロナウイルス感染拡大防止のために公演を中止またはキャンセルされた実演芸術団体およびプロダクション、スタッフ会社、企画制作会社等の実演芸術関連企業の活動継続、次なる創作・公演準備のための資金支援を行っている。支援額は総額3億円で、募集は50件を見込んでいる。募集期限は5月17日までで、支援金の交付は6月上旬の予定だ。

 京都市の「文化芸術活動緊急奨励金」では、現状にて実施可能の文化芸術企画を募集し厳選な審査の後、上限30万円が約300件程度交付する予定だという。愛知県では国の「持続化給付金」が支給される愛知県内の文化芸術関係の法人、個人事業者を対象に「文化芸術活動応援金」として法人に20万円、個人事業主に10万円の交付を予定している。現在はそのための寄付金を募集しおり、詳細は検討中とのことである。

CultuArt Scene

「カルチュアーツ・シーン」 旬なバレエ情報を厳選してお届けします

0コメント

  • 1000 / 1000