アクラム・カーン「Chotto Desh」

バングラディシュにルーツを持つイギリス人ダンサー、振付家であるアクラム・カーン振付の「Chotto Desh/チョット・ディッシュ」。このベンガル語の単語を邦訳すると「小さな祖国」という意味になる。作品を鑑賞しているとバングラデシュの公用語である同言語の単語がちらほらと耳に入り、同国の雰囲気と共に観客を異国情緒へと誘う。


京都公演ではロームシアター京都で行われた子供向けのイベント、「プレイ!シアターin Summer 2018」のプレ企画として上演された。

アニメーション映像と舞台美術を組み合わせ創る独自の世界は幻想的でとても美しい。


この作品の売り出し方として「子供向きの作品」という要素を含ませているが、実際のところ、国際状況やイギリスやバングラデシュといった国の事情を知りえない子供にとっては、作品を理解するのが困難なようだ。子供も楽しめる映像、影絵を使った一場など凝った演出がある一方、出演者のルーツや国際事情を想像し得る要素が少ない子供にとっては、理解が難しい面もあった。上演時間が約一時間という事を考えると、「長時間集中することがまだ困難な子供が観られる作品」という事になるのだろうが…。

 しかし、もし鑑賞後に「難しい作品だった」という感想を持つお子様がいたとしたら、それは少し残念な事なのかもしれない。「良い経験になる」と思えば、それも一案ではあるが。


筆者自身の個人的な感想としては、人生経験を積み自分以外の世界に向けられる大人にこそ観て貰いたい作品である。

【参考映像:Youtubeより】


公演情報

日時:2018年8月11日(1回公演)、12日(2回公演)

会場:ロームシアター京都 ノースホール

演出:デッシュ振付・演出 Akram Khan、

          チョット・デッシュ演出・翻案

           Sue Buckmaster

主催:ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)、京都市 

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