©Leo Labo 咲塚せりず
この作品の重要な要素である段ボールは大きなもので男性が一人すっぽりと入ってしまう程だ。それをどのように使うかに注目して作品を見るのも楽しい。
「箱男役」は実際に段ボールを被り、空間を徘徊する。箱に取り付けられた小さな窓だけが彼の進路を助ける。彼は作品中に実際に存在しているのか、それともこの世界の傍観者なのか。
©Leo Labo 咲塚せりず
サイトウは作品中に一度は観客をアッと驚かせる演出を取り入れる。今回は作品後半に箱男がそれまですっぽりとかぶっていた箱を脱ぎ捨て、フラッシュライトの中で踊り狂うをいう一場面があった。舞台中央に段ボールが高く積み上げられるので観客は彼の踊る姿を直接には見られないが、奥の壁に映るその影で彼の容貌と存在を感じられる。同時期に、同じ振付を舞台中央では女性ダンサーが激しく踊り、彼の存在をより強調する。
それまで箱男がのぞき窓から世界を見ていたのだが、この演出により箱を脱ぎ捨てた彼を観客が段ボールの裏側に覗き見ることになる。
この「見る側」と「見られる側」の相互こそがこの作品の大きなテーマであり、この演出に至るまでの作品の全体の流れに、サイトウの論理的な演出の巧みさを感じた。
©松本豪
公演情報
日時:2018年7月1日(3回公演)
会場:デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)KIITOホール
演出・振付 サイトウマコト
演出補 関典子
音響 金子彰宏
振付助手 齊藤綾子
主催 サイトウマコトの世界
©Leo Labo 咲塚せりず
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